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森永誠の釣り日和

2009.04.16 Thursday第39回 少年少女マス釣りに101の笑顔

 春休みになると各地で子供を対象にした釣りのイベントが開かれます。春4月の関西は絶好のお花見シーズンで、桜を見ながらの釣りは大人ならずとも子供にも至福の時間だと思われます。大げさでなく日本人に生まれてよかった、なんて思うのは私だけではないでしょう。4月4日に大阪府高槻市の芥川マス釣り場で財団法人日本釣振興会大阪府支部、大阪釣具協同組合主催の「第13回少年少女マス釣り体験」が開かれました。

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 このマス釣り体験に参加したのは大阪府下の8つの児童・養護施設の子供達101人です。引率の先生27人と大阪釣具協同組合の関係者が参加して、子供達に釣りとマナーの指導に当たります。今回で13回目を迎える恒例のマス釣り体験は大好評で子供達はこの日を心待ちにしています。小学2年生から中学3年生の中から釣り初体験の子供を中心に選んでいるようですが、すでに参加した子供達も行きたい、釣りをしたいと先生方に積極的にアプローチしたようで、参加者のセレクトに頭を悩ませましたと先生方は笑って話してくれました。
 当日の午前9時に集合した子供達、開口一番「おはようございます」と元気のいい声が響き渡ります。主催者側から今日のスケジュール、安全に釣りを楽しむ説明が行われ、同組合の大藤理事長は「自然に囲まれた素晴らしい環境の中で魚釣りを体験して、命の尊さやマナーを学び、釣りが大好きになってくれれば嬉しいですね」と子供達にやさしく語りかけていました。

 この日は曇り空で時々ポツリと小さな雨粒が肌を濡らしますが、子供達の熱気に負けたようで終了の11時までは雨具なしで釣りを楽しむことができました。

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 関係者は子供達に楽しい釣りをしてもらいたいと、早朝から同センターの人達と手運びでニジマスを釣り場に放流しています。私も協力したのですがけっこう長い距離を両手に布バケツを持って歩かなければならず2、3回運んだらハアハアと息が上がってしまいます。日頃の運動不足はこの辺りに表れているようで、健康のためにも体をもっともっと動かさないといけませんね。息を切らしながらも子供達に釣りを楽しんでもらおうと関係者は笑顔で作業を続けます。この思いやりはきっと子供達に伝わると思いますよ、みなさんお疲れ様でした。

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 芥川の水量は多く活性の高いニジマスを放流していますから、竿出しと同時に入れ食い状態です。竿が曲がるたびにあちらこちらから大きな歓声が上がり、子供達はいつしか釣りの世界に浸っていきます。最初はエサ付けを関係者にお願いしていた子供達ですが、慣れてくると「エサ自分で付けていい」と自分からエサを付ける子供もいました。こういう積極性のある子供は短時間で仕掛けの振り込み、そして取り込みまでマスターしていきます。その適応力の早さには驚いてしまいます。  各釣り場に関係者や先生方が付き安全に釣りができるように配慮しています。最初は子供達が一生懸命に釣りをしていたのですが、しばらくすると先生も熱心に竿を振り出して「釣りって面白いね」と大人から童心に帰っていました。子供達より積極的?に釣りを楽しむ先生もいて「先生、子供達に釣らせたって」なんて思いながらも、その熱心さに微笑ましく思ってしまうのはなぜでしょう。よくよく考えてみると自分もそうだから、かな。  もう何度となくこのマス体験に参加している先生は段取りがよく、釣りの最中に子供達に料理も教えていました。ニジマスの小さなウロコを落とし内臓を取り出し、下処理したニジマスをアルミホイルに包み「ホイル焼き」にしていきます。しっかりと焼けたら試食タイムです。あつあつの魚にガブリと豪快に食らいつく子供達、それをやさしく見つめる先生、実にいい光景でした。日頃は好んで魚を食べない子供もいるようですが「自分が釣った魚だけは喜んで食べるね」と先生は笑っていました。これをきっかけにおいしくて、健康にいい魚を子供達がしっかりと食べてくれたらうれしいですね。
 ただ、残念だったのは初参加の先生は子供達と釣りに夢中となり、料理して食べる時間がなくなってしまったことです。釣り終了後に料理タイムを取っていたようですが、終了後から小雨が降り出し料理は中止となってしまったのです。「ニジマス食べたかったのに…」と子供達はとても残念そうでした。
 釣りに夢中の子供達、釣り終了の合図があっても竿を仕舞うようすはなく「もっと釣りたい」とアピールしています。「来年も絶対来る」「これから釣りがしたい」と子供達は次々に話しますが、現実は経費や時間の問題などがあって厳しいようで「釣りができたらいいけど、こればっかりはねえ」と先生方は苦笑いです。

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 財団法人日本釣振興会大阪府支部、大阪釣具協同組合の「少年少女マス釣り体験」は今後も継続していくようです。私なりに今後も積極的に協力していきたいと思います。子供達の笑顔が素敵で忘れられないから…。

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2009.04.01 Wednesday第38回 悲しいねえ「釣りバカ日誌」の終了

3月中旬、スポーツ新聞を開くと衝撃的なニュースが目に飛び込んできました。大好きな映画「釣りバカ日誌」が次回のパート20で見納めになると大きく書かれていたのです。「ハマちゃん、スーさん」の愛称で親しまれていた釣りバカ日誌、仕事より釣り好きで、そして家族思いの平社員・浜崎伝助、浜崎が勤める建設会社の社長・鈴木一之介との奇妙な関係と友情を軸に、出会った人々との悲喜こもごもを描く松竹の看板映画はご存知の通りです。
  実は釣りバカ日誌の第一作目を私は取材しているのです。いまは廃刊の「週刊釣りサンデー」の記者のころ、松竹さんからご招待を受けて香川県女木島ロケに同行させていただきました。主人公・ハマちゃん役の西田敏行さんにも30分限定の単独インタビュー、カメラマンも同行しましたので週刊誌の正月号表紙も撮影させてもらったのを思い出します。
 西田さんは映画やテレビで見るイメージと同じで、温厚でやさしくて僕のインタビューにもしっかりと受け答えをしてくれました。映画ってすごいな、と思ったのはフェリーを貸し切って何度も何度も取り直しをすることでした。ハマちゃんが高松の会社に通うシーンを撮影するもので、自宅からぎりぎりの時間でフェリーに飛び込み、フェリーが岸壁を離れていくという設定です。フェリーの中には数百人のエキストラ、それらの人が監督の指示で決められたように動くのですから、まさに圧巻そのものでした。それも今回の撮影は浜崎伝助が地方から東京へと移るためのワンシーンですから、映画って時間とロケ費が掛かるのだと思い知った次第です。
 釣りバカ日誌は大ヒットして国民的映画シリーズとして親しまれたのですが、主人公の西田敏行さんが還暦を過ぎ、スーさん役の三國連太郎さんが86歳と高齢となり「勢いのある状態で区切りをつけたい」と松竹だけでなく西田さん、三國さんらの考えとも一致して終了の運びとなったようです。
 シリーズごとに応援していた私にとっては寂しい限りですが、釣りの普及や発展にも大きな役目を果たしてくれた釣りバカ日誌、心からありがとうといいたいですね。ラストは北海道ロケを予定しているということですが、ラストシリーズはもっともっと応援していこうと決めています。皆さんも応戦してくださいね。

 「土佐の一本釣り」「純平」をご存知でしょうか。ビッグコミックの人気シリーズで、土佐の一本釣りは映画にもなっています。いまの若い世代にはちょっと馴染みがないかもしれませんが、私らのような熟年世代なら誰もが知っているでしょう。筆者はいま亡き青柳裕介さんです。有名になると決まって東京に出てバリバリと仕事をするのが常ですが、青柳さんは故郷の高知県にこだわりを持ち、それも田舎で毎週書き続けていました。
 その青柳さんに平成7年1月20日、取材する機会をいただき飛行機で高地入りした私。青柳さんとの繋ぎをしてくれた人から「青柳さんは個性豊かな人だから、肌が合わないと帰れというから気をつけて…」とアドバイスというより脅しに似たような言葉をいただきました。
 ちょうど原稿を航空便で送るからと、ありがたいことに青柳さんが空港まで迎えに来るといいます。青柳さんの顔を見たことのない私、不安いっぱいで約束の時間に約束の場所で待っているとサングラスをかけポロシャツ、ジーパン、そしてサンダル履きの人がつかつかと近寄ってきました。まさか、この人が青柳さん?と思っていたら「青柳です、よろしく」とドスの聞いた声に「森永です」としか答えられず、お迎えのお礼をいうこともできませんでした。
 しかし、車中ではいろいろなお話を聞かせていただき、少しですが青柳さんの人柄を垣間見ることができました。とにかく気さくで話上手で、いつしか青柳さんのペースにはまりどちらが取材しているのか、分からない状態となっていました。
 事務所で取材をと考えていたのですが、後で聞いた話では私のことを気に入ってくれたようで、自宅に招かれ奥さんの手料理をいただきながら、取材をさせてもらったのです。取材の中で「田舎の学校のプールは子供の成長を止める。川で泳ぐことが教育になる」と青柳さんが話したのをはっきりと覚えています。その理由を伺うと、子供たちが川で泳ぐことで危険な場所、そして川がどれだけ汚れているか、それらを自然の中で学び、と同時に仲間との連帯感も大きくなり、それらが子供の成長につながるというのです。この考え方に私も同調し、以来私が関わる子供のイベントでは押し付けではなく自然の中で自由に遊ばせ、その中から子供が自分なりに考えて行動する、それを押し進めています。青柳さんの教えを守って…。
 帰りも青柳さんが空港まで送ってくれることになっていたのですが、青柳さん気分がよかったのか、お酒をどんどんといただき酔っ払ってしまい、結局は奥様が送るはめになってしまいました。車中で奥様が「主人がこんなに酔っ払うのは久しぶり。よほど森永さんとの会話がうれしかったのでしょうね」と話していただき、感激しながら高地を後にしたのを思い出してしまいます。
 取材時に青柳さんからいただいたのは写真にある「土佐の鬼やん」(第1巻〜第11巻)です。
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土佐の一本釣りが余りにも有名ですが、青柳さん自身が思う代表作がこの土佐の鬼やんだそうです。ほとんどの人が知らないこのコミック本、私自身もう何十回となく読み返していますが、そのたびに新たな感動があるから不思議です。この土佐の鬼やん、私はおそらく死ぬまで読み返すことでしょう、きっと。

 私達が学生だったころに流行った「釣りキチ三平」が上映されて大入り満員と聞きます。子供達にはこの映画をぜひ見てもらい、心に響く思いや釣りへの憧れを大きく膨らませてほしいと思います。釣りキチ三平はタックルベリーさんも応援しています。もちろん私も応援しています。お父さん春休みに子供と映画館へ行きましょう。そしてもっともっと釣りを好きになって、釣りにもいきましょう、約束ですよ。
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森永誠
森永誠

森永誠(もりながまこと)
昭和31年に世界遺産で有名な鹿児島県屋久島で生まれる。中学1年で大阪に移り、大学卒業後に週刊釣りサンデーに入社して編集部員に。25年勤続したが廃刊を機に独立して編集プロダクション「オム・オーシャン」を設立。現在、サンテレビ「ビッグフィッシング」レギュラー、ラジオ大阪・月曜日「むっちゃ元気・オール阪神の週間釣り道楽」レギュラー。サンケイスポーツ、日刊ゲンダイ、週刊つりニュースなどに執筆中。釣りは何でもこなすが手軽に楽しめる防波堤の釣りや投げ釣りを好む。

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