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森永誠の釣り日和

2008.12.30 Tuesday第32回 プロ野球選手とにぎやかに恒例の釣りロケ

 プロ野球の選手は長いペナントレースが終了して、来年2月1日のキャンプ・インまでがシーズン・オフとなっています。この短い期間にいろいろなイベントをこなし、プライベートな時間を過ごすのですが、私がレギュラーを務めるサンテレビ「ビッグフィッシング」では、12月中旬にプロ野球選手による釣りロケを行うのが恒例となっています。私も4年前からロケのお手伝いをしていますが今年は18日に兵庫県明石で船釣りを楽しみました。
 今回参加したのはオリックスの北川博敏選手、阪神タイガースの高橋光信選手、ヤクルトスワローズの古久保健二二軍バッテリーコーチです。昨年のロケと同じメンバーですが、古久保さんが中日ドラゴンズからヤクルトスワローズに今年移籍しました。プロ野球選手やコーチは個人事業主のため1年1年が勝負で、実績を残さないと球団と契約できないのです。そんな厳しい状況に全員がプロに残れたというのは“結果”を出した証でしょう。本当にお疲れ様でした。もちろんビッグフィッシングのキャスターであるオール阪神さんもこのロケに毎年参加しています。
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 当日のスケジュールでは午前6時に明石の鍵庄さんに集合となり、午前中に釣りを楽しむことになっています。現地到着一番手は古久保さんで、次いで高橋さんが訪れました。「僕はね船苦手なんですよ。今日はきっと酔うと思います」と心配げな高橋さん。「ミツ(高橋さんの愛称)何とかなるわ。薬飲んだか」と心配する古久保さんはやさしい先輩です。しばらくすると北川さん、オール阪神さんも訪れ、歩いて数分の護岸に停泊している大型乗合船に全員で乗り込みました。
 前日は雨だったので風が吹くことが予想されましたが、その心配は不要で港を出ると海は凪状態です。これなら高橋さんも船酔いの心配はなさそうと思ったのですが「これでもダメです」と高橋さんは真顔で答えます。そこで高橋さんに船の揺れが少ない中央付近に座るように促し、下を見ると酔うので常に水平線を見るようにとアドバイスします。今日は阪神さんが仕事の関係で10時に港に引き上げますが、それから再度海に出て釣りをします。高橋さん何とか10時までは頑張ってほしいと祈る気持ちでした。
 船はベタ凪の中、滑るように鹿ノ瀬に向かいます。船酔いは船が走っているときよりも、船が止まり複雑に揺れるときになってしまいます。高橋さんを見るとかなり辛そうです。けどあまり話しかけると高橋さんがかえって気を使うと思い、気にはしながらもあまり見ないように話しかけないようにしました。
 私が感心したのは高橋さんしっかりと船酔いしたのですが、決して釣りをやめようとはせず帰りまでがん張ってくれたことです。実は私も若いころは船に弱くて「ゲエゲエ」吐きながら仕事をした経験があります。仕事だから何とか頑張れたのですが、遊びの釣りだったらきっと「釣りやーめた」という心境になり、船の中で寝ていたと思います。いえ、実際にはあまりにも辛くて仕事にならずに寝てしまったこともありました。高橋さん時々吐いていましたが、そこは勝負に生きる男です。最後まで他人に辛そうな姿勢は見せず、ポーカーフェイスを通していました。
 鹿ノ瀬ではメバル狙いです。真っ先に竿を曲げたのは北川さんでした。「来たよ」と大きな声を上げて周りを元気づけます。20造鮴擇襯汽ぅ困任靴燭、本命のメバル登場に周りは一気に戦闘ムードに突入です。次も北川さんにメバルが釣れました。釣るパターンをつかんだ北川さんは4尾立て続けにキャッチしてご機嫌さんです。「この釣りは面白い」と夢中で釣りまくり、完全にメバル釣りにはまったようです。
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 一方、古久保さん、高橋さんにはガシラ、それも小さなヤツしか姿を見せてくれません。「オイ、どうなってんや。こっちは外道のミニばっかりや」と古久保さんぼやきが出てしまいました。船酔いには縁のない古久保さんはマイペースで釣りを楽しみ、いつしか本命メバルを釣り上げて「やった」と笑顔を見せます。高橋さんも何とかメバルを釣り上げて、お手伝いの私もディレクターも一安心です。そうそう阪神さんはさすがに手馴れたもので、マネージャーに釣法をアドバイスしながら次々にメバルを仕留めていきます。1時間ほどで全員メバルをゲットして雰囲気は最高潮です。
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 ビッグフィッシングは1時間の釣り番組ですが、その時間内に3本の釣りを放映します。今日の釣りは1月8日(木)に放送されますが、3本のうち2本分をプロ野球選手の釣りを予定しています。2本ともメバルでやるのは芸がないのでディレクター、船頭さんと相談して今度はウマヅラハギを狙うことにしました。
 ウマヅラハギ釣りになるとメバル釣り絶好調の北川さんは大不調です。アタリが分からないままにエサを取られてしまい「アカン、分からん」と首をかしげます。「ハゲの釣り方教えたろか」と北川選手に突っ込みを入れるのは古久保さんです。連発でヒットさせて「鍋に最高」と絶好調です。阪神さん、高橋さんも負けてなるかとウマヅラハギを釣り上げてロケは順調に進んでいきます。
 10時前に阪神さんが仕事のためロケは一応終了です。船が港へ向かって走り出すとギブアップ寸前だった高橋さんに笑顔が戻りました。高橋さんお疲れ様でした。港でロケの締めを撮影して2本文は無事に終了しました。「ミツ、もう一度釣りにいくぞ」と古久保さんは高橋さんに声をかけます。腰を引きながら「堪忍してください」と高橋さん。そのコミカルなやりとりは最高でした。
 阪神さんは仕事、高橋さんはギブアップしましたが、残りのメンバーはウマヅラハギ狙いに再度チャレンジします。明石沖で1時間ほど釣りをするといつしか風が強くなり、潮も速くなり状況は悪くなる一方です。「森永さん、そろそろ…」と船頭さんが話すので「一流しでラストにしましょう」と即決すると、あれれ、古久保さんも北川さんもしっかりとアタリを取って本命を釣り上げます。欲を出してもう1回やろうと流すと、またしても古久保さんがウマヅラハギを仕留めて、何と5連発ヒットの古久保さん笑いが止まりません。
 午後1時に終了しましたがメバル、ウマヅラハギ、チャリコ、ガシラと獲物は多彩で「楽しかった」と2人も大満足でした。
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 ちなみに2009年の抱負を3人に聞きました。今年大ブレークした高橋選手は「オフが忙しくて忙しくて…」とうれしい悲鳴です。今シーズンは結果を出したので各方面からのお呼びが多く、なかなかプライベートの時間が取れない状態だそうです。「来年もオフは忙しくなりたい」と高橋選手は意欲的です。
 北川選手はケガや体調面で思うような結果を出せずに不満が残るシーズンだったと振り返ります。チーム自体は後半に頑張ったので「来年は自分も結果を出して上位3チームに残りたい」と決意も新たにしています。
 古久保さんは「チームに溶け込んで、1人でも2人でも一軍で活躍できるような選手を育てたい」と前向きな抱負を語ってくれました。
 来年のオフも3人で釣りができるようになりたい、いや結果を出して釣りロケをやると固い約束をしてくれました。釣り好きなプロ野球選手の活躍はとっても気になりますよね。皆さんも3人の活躍を期待しながら、しっかりと応援してほしいと思います。

2008.12.16 Tuesday第31回 若者に人気の磯釣り&新車が冠の釣り堀大会

釣りをもっともっと楽しむためには「釣りクラブに入ることだ」なんて話、数十年前に先輩から聞いたことがある。クラブに入れば先輩から技術を学ぶことができる上に、各地に散らばる仲間から正確な最新情報を真っ先に入手できるので、狙いの魚を釣る確率が高くなるというのだ。ところが近年はこの釣り組織に大きな変化が現れている。その一番の流れが会員数の減少だ。釣りのマンネリ化、遊びの多様化に加え、最新情報を楽にキャッチできるインターネットの普及により、釣りは個人時代に入ったという人もいる。現実に存在する全国組織の釣り団体では会員の減少に歯止めが掛からず、会員数は全盛期の半分以下、特に若者の入会は低迷して会員の高齢化が悩みの種だと聞く。
 そんな中、若者が積極的に参加している釣り種目がある。それは磯釣り。どこの磯釣り場に出かけても若い人が訪れ、姿かっこだけでなく技術的にもハイレベルで、かなり勉強していることが伺える。なぜに磯釣りだけが若い世代に受けているのだろうか。
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 磯釣りは「豪快で男らしい」からカッコいいなんて話も聞くが、それだけではないようだ。毎年各地で開かれるメーカーや各連盟などが行っている全国的な磯釣り大会、この大会に若い世代は憧れ目標にしているというのだ。この大会に優勝して名立たる名人に少しでも近づきたい、いや名人の仲間入りを果たしたいという野望もあるのだ。“フィッシングドリーム”を夢見ているのだ。中には各メーカーの「フィールドテスター」になりたい。それには全国レベルの大会で勝たなければならないと日々鍛錬の若者もいる。
 私も毎年のように各メーカーの全国レベルのグレ釣り大会を取材しているが、最近若者の参加が多くなっていることを実感している。昨年、長崎県五島列島で開かれた「シマノジャパンカップグレ」では何と東京から当時中学3年生の八田孝一君、沖縄から高校1年生の宮城太樹君が参加。この大会は全国で開かれた予選を勝ち上がった選手が集まるもので、当然のようにこの2人も予選を突破しての参加。沖縄の宮城君と雑談すると、沖縄ではグレはまず釣れないので南方系の魚を相手にフカセ釣りの勉強をしたという。高校生だけに自分のお小遣いの中での釣りのため練習にしても限られ、もっと練習したくてもできない環境。その中での本選出場に思わず拍手をおくった私。東京から参加の中学生はお父さんがグレファンで、そのDNAを引き継いでいるかもと笑って話してくれた。ともになぜにグレ釣りをするようになったのかと聞くと「グレ釣りはカッコいい」と話してくれたのが印象的だった。
 今年11月22、23日に愛媛県日振島で開かれた「2008マルキューカップ全日本グレ釣り選手権決勝大会」も若い世代の活躍が目立った。結果的にはベテラントーナメンターが優勝を飾ったが、昨年に続いて3位を実力で勝ち取った川井選手は27歳の新鋭。グレ釣りに対する思い入れやテクニックは高い評価を得ている。20歳代、30歳代が頭角を現わした同大会、活気があって見ごたえのある熱戦が繰り広げられ、報道する私達もハラハラドキドキで楽しかった。
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 釣り界の活性には若い力は欠かせない。磯釣り大会のように若い世代が参加する、いや参加したくなるような大会の企画や商品開発が釣り業界には求められていると思う。
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 さて、ここ数年ですっかりとメジャーな釣りとなった海上釣り堀。私がレギュラー出演しているサンテレビ「ビッグフィッシング」では昨年に続き「第2回サンテレビ杯釣り堀名人大会」を開催中。今回は各地で6回予選を行い、予選を勝ち抜いた選手による準決勝が来年4月23日、そして決勝戦が5月28日に行われ第2回の名人が誕生する。この大会の優勝者に贈られる賞品が釣り業界に衝撃を与えている。何と大阪日産株式会社岸和田店から新車が提供されるのだ。実用性の高い人気車「モコ」が贈られることに「釣り大会の革命だ」とある連盟会長は驚きを隠せない。同店は私やオール阪神さんらと毎月系列の2店を含み、海上釣り堀で親睦大会を開いている。その縁で業界初となる新車を提供してもらったのだ。私自身、釣り大会もゴルフの大会のように車が冠になる日を夢見ていただけに、自分が動いて現実となっただけに喜びも一入。この流れが釣り業界の未来につながればと大いに期待している。いや変わってくれると信じたい。
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 来年3月12日に和歌山唐尾(かろ)の釣り堀・紀州、3月26日に和歌山県マリーナシティの釣り堀で釣り堀の予選会が開かれる。予選会は誰もが参加できるので、我こそはと思う人は各釣り堀に連絡して参加してほしい。新車が手に入るかもしれないぞ。
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2008.12.01 Monday第30回 日高川のカセ釣り「ありがとう」そして「さようなら」

 今年の世界的な大不況は釣り業界にも大きな広がりを見せている。数年前からの日本経済の落ち込みも大きく影響しているようで、渡船店や釣り船業者は目を覆いたいほどどん底。ベストシーズンの好天時でも釣り客はまばらという状態があちらこちらで起こっている。昨年に比べると釣り人の動きは半分以下で、このままでは経営の存続ができないと心配する店もある。
 そんな中、ショックな出来事が起こった。大好きだった和歌山県御坊市にある南釣具店が12月12日でお店を閉めることになったのだ。
 南釣具店は釣り具やエサを売る店ではなく、日高川河口にカセ(小船、伝馬船)をかけ、小物から大物までを釣らせる店としてファンに親しまれている老舗。フルシーズン多彩なターゲットが釣れる日高川河口のカセ釣り、釣り人が絶える間はなかったのだが2、3年前から釣り人の動きが鈍くなった。特に今年は釣り人の動きは最悪で“開店休業”の日もあったようだ。魚が釣れなくなったから釣り人の足が止まったのではなく、不況が大きく関わっているのだ。釣り人は財布の紐をしっかりと締め、ガソリンの高騰により遠出をしなくなったのが大きな原因だといわれる。
 南釣具店のご主人、南修さんは関西では釣り名人として名を馳せ、自らが極めた「アユの岩盤釣り」はアユ釣り界に衝撃を与えた。南修さんは“ナンシュウさん”という愛称で呼ばれ、若造だったころの私が「ナンシュウさん」と呼んでも嫌な顔ひとつせず、いろいろなことをしっかりと教えていただいた。一本気でウソが嫌いで、釣り人のことを真剣に考えてくれたナンシュウさん。もうナンシュウさんの教えを請うことができなくなるのはとても寂しい。そして奥さんはいつしか「お母ちゃん」と親しみをこめて呼ばせていただき、いつも笑顔で私を迎えてくれた。もちろん釣り人の誰にもやさしいのはいうまでもない。
 チヌ釣りのファンが圧倒的に多かった南釣具店だが私は秋から晩秋のメッキ釣りが大好きで、毎年のようにこのシーズンになると当地を訪れ、パワフルなメッキに酔いのんびりと1日遊んだ。生きたエビを撒き、生きた生きエビをハリに刺す“エビ撒き釣り”はメッキのほかのスズキ、ヒラメ、マゴチといった大物もヒットするから面白かった。3年ほど前にはかなり上流にカセを掛けて釣っていると“ドッカン”の衝撃で何と29造離スが飛びついてきた。エソと思うほどよく肥えていて、翌年も仲間が同じサイズのキスを釣ったのをついこの間のことのように思い出す。
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 11月中にテレビの取材とラストの釣りを楽しみたいと南釣具店を訪れた。私の顔を見るなり「ごめんな、もう店閉めることになってん」とお母ちゃん。不況も大きな原因だが後継者がいないのが大きいようだ。ナンシュウさんもお母ちゃんもかなりの歳で、もう体力の限界だというのだ。ナンシュウさんは病気がちで、このまま店を続けることはお客さんに迷惑をかけるという気持ちが強いのだ。
 実は2年ほど前にも店をやめたいという話をお母ちゃんから聞き「やめたらあかん、続けて…」とお願いして、2年間頑張ってもらっただけに、今回はもう何も言えなかった。「お母ちゃん、長い間ありがとう」というのが精一杯だった。そしていつもポイントにカセを掛けてくれた北野船頭にも感謝の気持ちを伝えると「お客さんに悪うてなぁ」と繰り返す北野船頭。心の底から残念そう。北野さんも長い間、本当にありがとう、そしてお疲れさま。
 店を閉めるまでにもう一度現地を訪れて、釣りを楽しみナンシュウさん、お母ちゃん、北野船頭の笑顔を見て語り合いたいとそう思う。だが反面、出掛けるのを渋る自分があった。みんなの顔を見ると何もいえなく、悲しい気持ちになってしまうのが嫌でそして怖かった。
「行く」「行かない」で葛藤中の私。まだ結論が出ていない。
 日高川河口のカセ釣り、長い間楽しませてくれてありがとう、そしてさようなら。
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森永誠
森永誠

森永誠(もりながまこと)
昭和31年に世界遺産で有名な鹿児島県屋久島で生まれる。中学1年で大阪に移り、大学卒業後に週刊釣りサンデーに入社して編集部員に。25年勤続したが廃刊を機に独立して編集プロダクション「オム・オーシャン」を設立。現在、サンテレビ「ビッグフィッシング」レギュラー、ラジオ大阪・月曜日「むっちゃ元気・オール阪神の週間釣り道楽」レギュラー。サンケイスポーツ、日刊ゲンダイ、週刊つりニュースなどに執筆中。釣りは何でもこなすが手軽に楽しめる防波堤の釣りや投げ釣りを好む。

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