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森永誠の釣り日和

2008.03.16 Sunday第20回 私も体験した怖くて悲しい海難事故

 自衛隊のイージス艦と漁船「あたご」の衝突事故。漁船の乗組員2人の安否はいまだにつかめず捜索活動は縮小。「もう仕方のないこと」と家族が納得したように話すのをブラウン管で見たが、本音ではきっとやりきれない思いがあると思う。この悲しい事故を二度と起こさないようにと各方面からいろいろな提案、安全確認が叫ばれている最中に、またしても今度は関西で貨物船やタンカーなど3隻による衝突事故。死亡者が出る最悪の結果になってしまった。

 この海上での船の事故、釣り人にとっては決して他人ごとではない。いや過去を振り返っても昭和63年に起こった「潜水艦・なだしお」と遊漁船「第一富士丸」の衝突事故、私の記憶では数十人が犠牲となり、釣り人に大きな衝撃を与えたと同時に、安全確認という戒めを各方面に示した。だが人の記憶って悲しいもので、そのときは「大変だ、しっかりしなくちゃ」なんて自覚するのだが、数年もするとすっかりと忘れてしまい、自分だけは事故に遭遇しないなんて思ってしまう。この気の緩みが事故につながり、また反省と自覚といったことの繰り返し。

 今回の明石海峡の事故にしても、まだ正式には明らかにされてはいないが自動操舵だったという報道がある。イージス艦の事故も自動操舵、ましてや明石海峡という狭い場所で1日に800隻ほどの往来がある場所で、またしても自動操舵なんて、事故の反省がなされていないしか言いようがない。

 近年はプレジャーボートを所有する釣り人が多くなり「いつでも、どこでも事故が起こり得る」と言い切る人もいる。海のルールを守らない、航行してはいけない場所でも平気で猛スピードなんてこと、私自身も目撃しているだけに事故が起こるという話には納得できる。夏になるとボートだけでなくモーターバイクも事故多発で厳格な規制が昨今叫ばれている。



 船の事故を見るたびに悪夢が蘇る。実は私も衝突体験者なのだ。数年前の年末だった。和歌山県のある釣り船に乗って沖へ出るときに事故は突然に起こった。天気は快晴で無風、海上もベタ凪で見通しはいい状態で、事故が起こりえるような悪天候ではなかった。ところが人間というのはこういうときに限って気が緩んでしまうのか、私達が乗っている大型船が何とタチウオ漁の漁船に「ガーン、ガガガ」という衝撃音とともにぶつかったのだ。船のトモで仕掛けのセットをしていた私はその衝撃でひっくり返り、一瞬の出来事で何が起こったのか判断できず「えっ、何が…」という状況。船頭さんも「ああ…」というだけで、何が何やらただオロオロ。

 我に返ってから恐る恐る船べりから身を乗り出すと私達が乗った船が漁師さんの漁船に乗り上げていたのだ。当然のように船頭さんの姿はない。「もしかしたら…」なんて急に心配になったが、数秒もすると海中から船頭さんが浮かび上がり一安心。幸いにも漁師さんの手にタチウオバリが刺さっただけと怪我はなく、最悪の結果は免れた。このときの光景をいま思い出しても身がすくんでしまう。

 事故後は現場検証に立ち会い、午後からは事情調書と続きこの日は釣りどころではなかった。そのときに海上保安庁の係員が「船の事故は珍しくないですよ。最近は増えています」と驚くようすもなく、淡々と話していたのが印象的だった。

 さて、明石海峡の衝突事故は人命問題だけでなく、油流失による漁業被害も起こっている。いま明石海峡付近はイカナゴ漁がスタートしたばかり。場所によってはイカナゴ漁中止も起こっているようで、漁師さんの死活問題までに発展する可能性大。それよりも怖いのが油によって明石付近のイカナゴ、魚、海苔が食べられない、危ないなんていう風評被害。油は風や潮流によって大阪港へと広がり、近くの海岸に漂着しているという。いち早く油の回収が行われ穏やかな海に戻ることを願っている。
 いま磯釣り、防波堤釣りでは救命具着装は常識。船釣りも着装する人が増えてきているがまだ完全とはいえない。プレジャーボートだけでなく、一般の釣り船に乗船するときも安全のために救命具を必ず着けてほしい。いや、安全のためには漁師さんも着ける時代になったのではないだろうか。私の釣りのモットーは、釣果は二の次「ただいまといえる釣り」。みなさんも安全に釣りを楽しんでくださいね、家で待って入る家族のためにも…。

●●●今週の一押し●●●



004.jpg 大阪北港では低水温ではあるが人気のチヌとハネが釣れている。ハネとは関西での呼び名でスズキの幼魚のことだ。サイズでいうなら40属幣紂60駄にを指す。
 釣り方はエビ撒き釣りで、早朝から防波堤に上がり底巻き器を使って底中心に生きエビを撒き、チヌやハネの活性を高める。早朝は低水温で食い渋るが、日が上がると同時にマキエ効果で食いがアップするのが基本パターン。チヌは40詑罎ほとんどで日によっては50詑罎痢版無し”も姿を見せる。ハネにしてもスズキと呼べる60促ーバーもまじるからあなどれない。
 数はチヌ、ハネを合わせて4、5尾といったところだが、食いがいい日には2ケタ近い釣果もあるようだ。大物がヒットする可能性が高いのでハリスは2号を中心に使う方が無難。釣り場が広大で足場のいいところもあるので初心者も安心して楽しめる。

◆問い合わせ ヤザワ渡船 筍娃供Γ僑毅沓魁Γ沓沓隠旺

2008.03.01 Saturday第19回 積極的なイベントで釣り業界盛り上げよう

 巷では景気は緩やかだが回復基調だと政府やマスコミは繰り返して報道するが、釣り業界にはそんな実感は全くない。釣り具を作る側のメーカーも新製品になかなか着手できず、渡船店や釣り船業者にしても釣り人の足は遠のくばかり。

 分析すると釣りが嫌になったのではなく、不況の影響で給料は上がらず先行きが心配と釣りにお金をかけなくなったのだ。私の知る渡船店や釣り船の話では、昨年の実績は一昨年の半分以下だとなげく。釣具店にしてもしかりで、あちらこちらで店を閉めるところが多く、元気でがん張っているのはいまや140店舗にもなったタックル・ベリーだけ。だがタックルベリーだけがいくらがん張っても釣り業界を上向きにはできない。関連するあらゆる分野が元気でないと景気の回復は望めないからだ。

 古きよき時代を知る釣り人は「釣り業界自体に活性がない、やる気がない」とまで言い切る。私も好景気だったよき時代を知っているが、とにかく各地でいろいろなイベントが開かれてにぎやかだった。特に釣り大会は花盛りで、名人戦だけでなく一般参加の釣り大会も各地で開かれて活性があった。やはり一般の釣り人が興味を持って参加するようなイベントは必要で、タックル・ベリーにしても今後もっと積極的に進めていくべきだと思う。いや、そうあってほしいと願う。

 昨年に兵庫県平磯海づり公園で開かれたディーリースポーツとタックルベリー主催の一般参加の家族釣り大会。各地からたくさんの家族が集まり開始から終了まで大にぎわい。私もベリーガールとイベントを担当したが、その熱気はひしひしと伝わり、釣りって家族で楽しめる最高の遊びだと誰もが実感。子ども達と来年の再会を約束したのがついこの間のようだ。こういったイベントが釣り業界を元気にするひとつの方法だと思うが、どうだろう。



 この考えに同感したような釣り大会が2月17日に和歌山県出雲崎の磯で開かれた。「不況の時代だからこそもっとみんなで釣りを楽しもう」と和歌山市内に釣具店を3店舗持つ「つり具のマルニシ」が主催。当初は30〜40人で磯釣りを楽しもうと募集したところ、短期間で100人が参加を希望。初の大会だけに大人数は混乱を招くということで、早々に募集を打ち切ったが結局は110人という盛大な大会となった。「釣り人はみんなで楽しめる大会を待っていたのですね。反響の大きさに驚きました」と西雅和社長がうれしそうに話していたのが印象的だった。

 私もこの大会にゲスト参加。早朝から若者や年配者が集まり、初めての顔合わせでありながら昔からの顔馴染みのように和気藹々と楽しそう。どの顔にも笑顔があって見ているこちらもうれしくなった。この大会は名人を作り上げるものではなく、みんなで楽しむのが趣旨。マルニシさんは参加者全員に賞品を用意し、豪華賞品は上位入賞者だけでなく、抽選でもたくさん出るように配慮していた。



 午後1時30分まで熱心に、そして楽しく竿を振った参加者達。期待のグレは低水温で食い渋ったようだが、それでも40詑罎顔を見せ、審査場に提出されるたびに大きな歓声が起こっていた。表彰式とお楽しみ抽選会はさらに盛り上がり、大会終了後に「次回も開こう」とあちらこちらから元気な声が聞かれた。釣り人を元気にしてくれる、マルニシさんのような一般参加の釣り大会が各地で開かれることを期待したい。



 全関西磯釣り連盟、関西の磯釣り師には馴染みのある大きな磯釣り組織だ。関西の磯釣り連盟の老舗で分家のクラブや連合会があちらこちらにある。その全関西磯釣り連盟が今年で50周年の節目を迎え、大阪市内のホテルで2月24日に盛大な祝賀会が開かれた。全国からお祝いに駆けつけてくれた著名人にまじり、私も来賓者として出席させていただいた。いろいろな方といろいろなお話をしたが、誰もがいまの釣り業界の低迷時代を何とかしたいと意欲的。全関西磯釣り連盟にしても少子高齢化に伴い連盟を挙げて釣り人の底辺拡大を目指し、そのためには子どもの釣り教室から釣り大会を積極的に行うことを宣言。 と同時に釣り雑誌の記者時代にお世話になったオールドメンバーとの久しぶりの再会は、古きよき時代の昔話で大いに盛り上がり懐かしかった。私がレギュラーを務めるビッグフィッシングでもゲスト出演していただくタレントで元参議院議員の「中村鋭一」先生も同連盟の顧問として出席。中村先生はお歳を召してはいるが、もっともっと釣り業界の発展のために、今後もお力いただけることを約束していただいた。



 釣り業界に携わるメンバーは誰もが前向きに業界の発展を願い、それに向けて力を注ぐ意向である。各方面のメンバーががん張れば間違いなくこの低迷を脱出できると私は信じている。もちろん一般釣り人のパワーも絶対に必要。このコラムをお読みの皆さんも力を貸していただきたいと心から願う。元気な釣り業界になるために…。

●●●今週の一押し●●●

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 低水温で釣り物が少なくなった大阪湾の防波堤。チヌ、ハネ(スズキの幼魚)は一時期のような食いはなくなり、替わってガシラ、メバル、アイナメといった根魚が元気になってきた。大阪北港では半夜釣りでガシラ、メバルの20袖蕕調子よく、アイナメも例年以上に釣れている。特にアイナメは30属幣紊痢肇櫂鶺蕁匹好調。ポン級というのは釣れるアイナメの腹回りがビール瓶の太さほどあるためだ。ビール瓶は1本(ぽん)、2本と数えるために、アイナメの大物をポン級と呼ぶのだ。

 根魚の釣り方はエビ撒き釣りがベスト。底撒き器で底スレスレに生きエビを撒き、電気ウキで流し込めばいい。底撒きは頻繁にかけて根魚の活性を高めることが釣果につながる。平均して夕まずめから7時ごろまでがベストタイム。

◆問い合わせ ヤザワ渡船(筍娃供Γ僑毅沓魁Γ沓沓隠押泡
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森永誠
森永誠

森永誠(もりながまこと)
昭和31年に世界遺産で有名な鹿児島県屋久島で生まれる。中学1年で大阪に移り、大学卒業後に週刊釣りサンデーに入社して編集部員に。25年勤続したが廃刊を機に独立して編集プロダクション「オム・オーシャン」を設立。現在、サンテレビ「ビッグフィッシング」レギュラー、ラジオ大阪・月曜日「むっちゃ元気・オール阪神の週間釣り道楽」レギュラー。サンケイスポーツ、日刊ゲンダイ、週刊つりニュースなどに執筆中。釣りは何でもこなすが手軽に楽しめる防波堤の釣りや投げ釣りを好む。

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