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森永誠の釣り日和

2007.11.16 Friday第12回 タチウオの回遊次第で景気が変わる?

g 関西のタチウオ人気はものすごいものがあります。船釣りは毎年のように夏ごろからスタートしますが「釣れ出した」の情報が入れば土、日は予約でいっぱいです。平日でも飛び込みの釣りはできないほど大にぎわいする場所もあります。防波堤のタチウオ釣りは船釣りよりもさらに過熱します。全長3〜4舛旅大な一文字に釣り人がずらりと並び、シーズンによっては「満員御礼」となり、上がれないということも起こるのです。
 なぜタチウオは釣り人に人気があるのでしょうか。私なりに分析してみますと、まずは引きがいいことが挙げられます。船釣りだけでなく防波堤でもメーターオーバーが期待できます。このクラスになると驚くほどパワフルで、その引きを一度でも体感したらもうトリコになってしまうのです。そしてこのタチウオはとてもおいしくて、冷凍保存しても味がほとんど変わらないのも受け入れられる理由だと思います。ましてやタチウオはウロコがなく、内蔵にしても小さいので下処理に時間が掛かりません。ウロコのある魚を持ち帰ると嫌な顔をする“山の神”もタチウオだけは別で「また釣ってきてね」とこうなるようです。

 近年、景気は好転していますと行政は自信たっぷりに話しますが、こと釣り業界はいまもって大不況です。そんな状況下に何とかやりくりして営業できるのは「タチウオが釣れるから」と、はっきりと答える関係者も多いのです。関西の釣具店、渡船店、そしてメーカーもタチウオの接岸状況で“年を越すことができるかどうか”なんて、マジな会話がここ数年飛び交っています。今年の状況はともにスタートはやや遅れましたが、ここにきて食いが上昇してきました。「これで年を越せそう」の会話が聞かれそうです。
 タチウオは立って泳ぐから「タチウオ」、あるいはスラリと長い白銀色の魚体は研ぎ澄ました刀身のように輝くことから「太刀魚」と書かれます。先ほどにもいったようにタチウオにはウロコはありません。そのウロコの代わりに、まるで銀箔を貼り付けたような白銀色のグアニン色素の粉が全身を覆っています。タチウオの魚体に触れるとこのグアニン色素は簡単に剥がれてしまいます。釣り上げた直後は実に美しいのですが、グアニン色素が剥がれたタチウオ、その輝きを失ってくすんでしまうのです。
 グアニン色素が剥がれたタチウオをリリースすると死んでしまいます。というのもグアニン色素の剥がれた場所から細菌が入るからです。ですから釣り上げたタチウオはリリースせずに、魚の供養とぜひ食してほしいとそう思います。
 聞くところではこのグアニン色素を乾燥させた粉末が模造真珠の原料になるようです。
 タチウオは塩焼きが一番ですが、メータークラスの大型ならお刺身も最高です。塩焼きは少々古くなったものでもおいしくいただけますが、お刺身だけは新鮮なものが最高です。そう考えると新鮮なお刺身を食べられるのは“釣り人だけの特権”だといってもいいでしょう。



 数年前に三重県に出かけ網元さんの大敷網をお手伝いしたことがあります。夜中から始めた仕事は早朝に終わり、ご苦労様ということで網元のお宅で朝食をいただきました。そのときに食卓に並んだのがベルトサイズの、商売には使えないタチウオのミリン干しと一夜干しでした。そのおいしさといったら言葉では表現できませんでした。もう一度あのタチウオを食べたいなあ、いまでも生唾ゴックンの私です。タチウオ釣りに行こうっと…。

●今週の一押し●

 大阪北港の夢洲の各防波堤でチヌ(クロダイ)が好調に釣れています。以前は日中に落とし込み釣り、あるいはオキアミのフカセ釣りが定番でしたが、昨年から半夜釣りのフカセ釣りが大流行しています。午後4時ごろの渡船に乗り込み釣り場に上がり、夕まずめを中心に大型チヌを狙うのです。完全に日が暮れたら電気ウキに切り換えて、マキエを絶やさずに撒き続けてチヌの食いを高めるのです。 夜に釣れるチヌは40詑罎梁膩燭多く、日によっては50促ーバーの“年無し”もまじります。慣れた人は2ケタ釣るほど魚影の濃いところです。今季は例年よりも水温が高いので年内いっぱいは半夜釣りが楽しめそうです。

◆問い合わせ ヤザワ渡船筍娃供Γ僑毅沓魁Γ沓沓隠旺

2007.11.01 Thursday第11回 家族で楽しめる釣り大会

 釣りはいろいろな楽しみ方がありますが、家族そろって1日のんびりと過ごしてほしい、これが私の願いです。お弁当を食べながらワイワイ、ガヤガヤとにぎやかな釣り、帰ってからは釣った魚を料理しておいしくいただく、家庭崩壊なんてよその話で、家族の絆がさらに強くなると信じています。

秋本番の10月「天高く馬肥ゆる秋」なんていわれるように、何を食べてもおいしい時期です。釣りにしても旬の魚が多く、何を狙おうかと迷ってしまいます。ところで旬の魚は2通りの意味があるのをご存知でしょうか。

 まずひとつは魚自体脂がとてもよく乗っておいしい時期、それが旬だといわれます。もうひとつは一番獲れる時期を指します。昔の船はいまのようなエンジン搭載なんてなく、櫓をこぎながら魚を追っていました。櫓をこぎながらの漁で魚がたくさん獲れる、その魚が旬のだというわけです。
 話が横道にそれてしまいましたが、釣りには最高のシーズンということで、各地でいろいろな大会が行なわれています。10月14日に神戸新聞子育て支援プロジェクトすきっぷ21共催事業として「タックルベリー家族でフィッシング」が神戸平磯海づり公園で開かれました。主催はデイリースポーツ社で、タックルベリーが協賛しています。この大会にベリーガール2007の服部篤枝さん、安西真美さん、そして私もゲストとして参加しました。

 正午からの受付にはたくさんの家族が集まってきます。親子だけでなくおじいちゃん、おばあちゃんも元気に参加してくれました。どの家族も笑顔いっぱいでそれを見るこちらも自然と笑みがこぼれていました。受付の後は私と兵庫釣連盟・生島正俊会長による競技説明と注意事項と進みます。初めて釣りにトライする家族は真剣に耳を傾けています。子どもよりもお父さん、お母さんが熱心でメモを取る人もいました。
 釣り開始前に参加者全員にプロの料理人が作った「漁師鍋」が振舞われました。実はみなさんに食べていただく前に、ちゃっかりと私とベリーガールの2人は味見をさせてもらっています。さすがの出来栄えで思わず「うまい」と声が出てしまいました。どの家族も漁師鍋に大満足で「おかわりはないの」なんて声もありました。



 さあ、釣り開始です。残念なことに家族に人気の小アジは全く上がっていません。サビキ釣りはあきらめて、探り釣りで根魚を中心に狙います。正午過ぎからの釣りですから時間的には最悪です。それでも熱心に竿を振る参加者達。その熱気に魚たちは負けたようで、あちらこちらでガシラ、アイナメ、サヨリ、ベラ、カワハギが顔を覗かせます。思いもよらぬキジハタ(関西ではアコウ)も姿を見せました。小さな魚でも子ども達にとっては貴重な獲物で、釣れるたびに大きな歓声が上がっていました。もちろん、お父さん、お母さんも童心に帰り一生懸命に竿を振っています。

 大阪府交野市の曽山隆彦さんは奥さんと子ども2人と初参加です。釣りも初めてで「友人に誘われて…」といいながらアイナメをゲットして大喜び。「はまりそう」と子どもたちと手を取り合っていました。京都府中京区の飯田一輝君は小学2年生。4年生の姉とご両親、そして祖父母の6人で参加です。ガシラを仕留めてにっこり、祖父母のやさしい微笑が印象的でした。 「サヨリを釣りました」とニッコリ笑うのは、淡路島から参加した中学1年生の東田有未さん。お父さんの光司さんが釣り好きで、釣り天国の淡路島でよく出かけているようです。「たまには淡路島を離れて釣りをしたい」と参加したようですが、釣果はやはり低調だったようです。それでも和やかの雰囲気の大会に、参加できただけでもうれしいと満足していました。





 楽しい釣りも午後4時30分で終了となりました。もっと釣りをしたいと残念そうな人でいっぱいです。次々に審査場に魚が持ち込まれ、関係者が真剣に検寸をします。そして待ちに待った結果発表。長寸の部、重量の部と入賞者がステージに上がり、恥ずかしそうな人、誇らしげな人と様々です。入賞できなくても参加者全員に抽選で何らかの賞品が当たります。私が抽選箱から番号を引き出し読み上げます。「やった」「残念!」「一番違いや」と悲喜こもごも。全員に賞品が当たるころには日は傾き、明石海峡大橋方面の夕焼けがとてもきれいでした。

 大会は事故もなく無事に終了しました。「にぎやかないい大会になった」と主催者側、「また来年もやってね」と参加者が手を振りながら話してくれました。ちなみにベリーガールの美女に挟まれた私、皆さんにはどう見えたのでしょうか。典型的な体形の日本人のおっちゃんだったのでしょうね、きっと。


●今週の一押し●

 大阪南港の新波止で人気のタチウオが釣れ出しました。今季は半月ほど釣期が遅れたのですが、サイズのいいものがよく上がっています。先週には“指5本”といわれるメーターオーバーがよく釣れて、釣り人を熱中させました。朝夕にヒットしますが時合いの長い夕まずめがベストです。引き釣り、電気ウキ釣りとどちらでも楽しめますが、いまは電気ウキ釣りに分があるようです。ウキ下は3ヒロ前後で、エサはキビナゴを使います。食いのいいときはメーターまじりで2ケタ釣れている大阪南港のタチウオ釣り。これからはさらに型、数ともによくなってくるので期待できます。
 また、そろそろノマセ釣りのシーズンでハマチ、スズキがターゲットです。パワフルな引きを味わってください。

◆問い合わせ 丸高渡船筍娃供Γ僑僑隠魁Γ隠娃沓帰
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森永誠
森永誠

森永誠(もりながまこと)
昭和31年に世界遺産で有名な鹿児島県屋久島で生まれる。中学1年で大阪に移り、大学卒業後に週刊釣りサンデーに入社して編集部員に。25年勤続したが廃刊を機に独立して編集プロダクション「オム・オーシャン」を設立。現在、サンテレビ「ビッグフィッシング」レギュラー、ラジオ大阪・月曜日「むっちゃ元気・オール阪神の週間釣り道楽」レギュラー。サンケイスポーツ、日刊ゲンダイ、週刊つりニュースなどに執筆中。釣りは何でもこなすが手軽に楽しめる防波堤の釣りや投げ釣りを好む。

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