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森永誠の釣り日和

2007.09.16 Sunday第8回 秋の風物詩”メッキ”は哀れなお魚




 関西では秋になると河口部がにぎやかになってきます。そう秋の小物達が勢ぞろいして釣り人を迎えるからです。一番人気は都会のど真ん中でも釣れるマハゼですが、忘れちゃいけないターゲットにメッキがあります。引きよし、食べておいしいとあって大人気で、シーズンを心待ちにしているファンがいっぱいです。
 実はメッキという和名の魚はいません。関西でメッキと呼んでいるのはギンガメアジ、ロウニンアジ、カスミアジなどの幼魚で、その魚体がまるでメッキを施したかのように銀色に輝くことからそう呼ばれるのです。南方でGTゲームと称される、ジャイアント・トレバリーはロウニンアジですので、そのDNAを受け継いでいるメッキ、パワフルな引きは一度味わったらもうトリコになってしまいます。




 私も大のメッキ釣りファンで、毎年秋になると和歌山県下の河口部で竿を出しています。メインは護岸からのエビ撒き釣りになりますが、日高川河口部では伝馬船(小船)に乗ってメッキ釣りを楽しんでいます。もちろん、メッキはフィッシュ・イーターなのでルアーのベストターゲットでもあります。メッキの回遊は秋の訪れを知ることができる、まさにメッキ釣りは秋の風物詩といえます。

 メッキは黒潮に乗って和歌山県下の河口部に初秋に回遊してくるのですが、水温が低下する12月後半になるとピタリと食いが止んでしまいます。水温の高い南方に帰ったのかと思われそうですが、実はそうではないのです。
メッキは“死滅回遊魚”と呼ばれて、故郷の南方に帰ることなく死んでしまうのです。何と哀れな魚なのでしょうか。だから小型を釣っても海に返すより、供養とおいしくいただく方がいいのです。

 回遊初期は15造曚匹任垢、初冬になると25造ら30其瓩に成長します。このサイズをヒットさせるとキーンと糸鳴りして走りまわります。いまこれを書いている瞬間もメッキとの楽しい引き合いのシーンが浮かんできます。早くいきたいな〜。

 死滅回遊魚のメッキですが中にはごくわずかですが2年、3年と生き延びるものもいます。温排水が流れている場所の近くに回遊した固体は、水温が低下しないために冬を越すことができるのです。冬を越したメッキは超30臓△箸には40其瓩ぅ咼奪哀汽ぅ困棒長して釣り人を驚かせます。

ただし、それ以上のものが釣れたという話は聞いたことがなくやはり2、3年で死滅してしまうのではないかと思われます。
 私がレギュラーで出演しているサンテレビの「ビッグフィッシング」に1枚の写真が届きました。ギンガメアジの40促ーバーが写っていたので、きっと南方で釣った思い出の1枚を送ってきたのだと思っていました。ところが釣れた場所を見ると何と兵庫県明石のルアー船です。釣り雑誌の記者を25年、個人で釣りをメインとした事務所を開き4年目を迎えますが、明石沖でギンガメアジの40詑罎釣れたなんて聞いたことがありませんでした。

 いま温暖化によって日本全体の海面水温が上昇しています。気象庁の調べでは日本は世界に比べると3倍も上昇し、過去100年で「0・7〜1・6度」上昇しているといいます。数字だけ見るとたかが1・6度と思われますが、魚の世界では驚愕的な数字なのです。このまま水温が上昇を続けると日本近海は南方の海になってしまい「GTゲームができる」夢ではないかもしれません。いや、明石沖で良型ギンガメアジ、南方の海に一歩一歩近づいているようです。




●今週の一押し●

 和歌山県湯浅といえば関西では誰もが認める船釣りの基地です。小物釣りから大物釣りまで楽しめるので京阪神からの釣り人も押しかけます。夏の人気魚はタチウオで、毎年6月後半から8月中がベストシーズンですが、今年は9月に入っても好調に釣れています。サイズも1奪ーバーがよくまじり、数にしても多い人は30尾、40尾も上げています。湯浅港からわずか10分で釣り場ですので初心者も安心です。ハリス14号、タチウオバリ15号の竿釣りでエサはサンマの切り身を使っています。仕掛けを底から上にゆっくりと上げていくとガツガツとタチウオが当たってきます。このときに合わせると素バリを引いてしまいます。ガツガツのあとグッと押さえ込む瞬間があるので、そのときが合わせのタイミングです。いまのようすなら当分タチウオは楽しめそうです。

◆問い合わせ 湯浅丸(筍娃沓械掘Γ僑押Γ械械毅后泡

2007.09.01 Saturday第7回 笑顔いっぱい難聴児と健常児の釣り大会

 自然と対峙できる釣りは男女を問わず、大人から子どもまでが楽しめる最高の“遊び”です。どこのフィールドに出かけても最高の笑顔を見ることができる釣り、もっともっとたくさんの人たちに楽しんでもらいたい、これは私の願いでもあります。最近はうれしいことに体の不自由な人も積極的に参加しています。先だっては片腕だけで紀州釣りを楽しんでいる年配の方にお会いしました。その方は体のハンディを苦にせず、堂々たる釣りに感動さえ覚えてしまいました。あらためて釣りっていい遊びだなあと実感した次第です。

 8月26日にNPO法人「医療・環境サポート協会」が主催する「難聴児と健常児の釣り大会」が神戸市立平磯海づり公園で開かれました。昨年からスタートしたこの釣り大会、子ども達だけでなく父兄にも大好評で、昨年から継続を約束していたものです。もちろん私もお手伝いができたらと昨年から参加しています。

 「引っ込み思案の子どもを外に出そう」がこの大会の大きな目的ですので、釣り開始は午前10時30分と遅くなっています。本格的な釣り大会ではとうてい考えられない時間帯ですが、釣果は二の次で自然の中で竿を出して元気に遊んでもらえたらいいのです。

 とはいっても釣りをしたい子ども達は1時間以上前に到着しています。中にはジェスチャーで釣りをしたいと自己アピールする子どもがいて「もう少し待ってね」と諭す関係者もいます。同協会のメンバーやお手伝いの釣り仲間は数時間前から、各メーカーや釣具店などからいただいた協賛品を次々に並べて子ども達の到着を待っています。主役は子どもですので子ども達が喜ぶようなぬいぐるみ、お菓子、バッグ、サンダルといった賞品がたくさん並び、釣り具はわずかで一般的な釣り大会の雰囲気はありません。

 釣り開始前に全員が集合して、まずは同協会の小野理事が道具や釣り方を説明していきます。と同時にサポートするメンバーには子どもの接し方として、難聴児には後ろからの声かけは止めて、前から顔を見て話すようにとアドバイスをします。そして事故のないようにと全員が確認してから釣りがスタートしました。



 対象魚は何でもいいのでサビキ釣りで確率の高いイワシ、アジを狙います。子どもには父兄とサポーターが付きますが、子ども達にエサ付けから魚外しまでやらせるのが基本です。あくまで大人は少しだけのお手伝いということになっています。

 8月後半だというのに相変わらずの猛暑で、立っているだけでも汗がポタポタと流れてしまいます。熱中症が心配されるので、水分補給と無理な釣りだけはしないようにと気を配ります。ところがこちらの心配をよそに子どもたちは元気で休まずに釣りに熱中しています。イワシ、小アジ、ときにはベラ、ガシラといった魚が顔を見せてあちらこちらで大きな歓声と笑顔が広がりますが、中には子どもよりもお父さんやお母さんが必死に釣りをしています。どうも釣りは大人を童心に返らせる魔力があるようですね。
 昨年も感じたのですが、難聴児の子どもは釣りに向いているように思います。というのも集中力がケタ違いで、健常児よりも釣果をのばしているからです。このまま順調に育ってくれれば将来は楽しみな釣り名人が誕生しそうですが…。

 最初はエサ付けや魚を触るのを嫌がっていた子どももいつしか平気になってきました。明石から参加した小学4年の塚本敦也君もその1人で「魚に触れるようになった」と満足気。午後零時30分に釣り終了となりましたが、子ども達は竿を仕舞うのが嫌なようで「まだ釣りたい」と渋々顔でした。



 そして表彰式は大にぎわい。お目当ての賞品を手にする子どもの弾けるような笑顔に「こんなに笑った顔は見たことがありません」「釣りっていいですね。これから子どもとやってみます」とうれしそうに話す父兄がいっぱいでした。帰り際に「来年もやろう」と子ども達同士は固い約束をしていました。うん、また来年も釣り大会をやろうね。

 なお、この釣り大会にタックルベリーさんも協賛してもらいました。オリジナル帽子は大好評で子ども全員がかぶっていました。以外だったといっては失礼ですが、お母さんに大人気だったのがクレハさんのクレラップでした。家計を預かるお母さんには実用性のあるものがいいようですね。これからの釣り大会の賞品にはもってこい?


●今週の一押し●

 関西の船釣りは2本立ての釣りが主流となっています。兵庫県家島周辺に出ている山本丸ではマアジとキスを潮によって狙っています。本命はマアジで潮が悪くなったらキスに切り替えるのがパターンです。
 マアジは23〜26造レギュラーサイズで慣れた人は20〜30尾は釣り上げています。キスの食いはコンスタントで15〜20造30尾は釣れそうです。マアジ狙いの水深は23奪薀ぅ鵝▲ス狙いは35〜40辰凌湿譴如▲泪▲犬魯泪エサを使わないサビキ釣り、キスはテンビンを使った2〜3本バリが基本になっています。これからはマアジが本格化して数も型も期待できるでしょう。

◆問い合わせは山本丸筍娃沓后Γ械横供Γ娃横械犬泙尿
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森永誠
森永誠

森永誠(もりながまこと)
昭和31年に世界遺産で有名な鹿児島県屋久島で生まれる。中学1年で大阪に移り、大学卒業後に週刊釣りサンデーに入社して編集部員に。25年勤続したが廃刊を機に独立して編集プロダクション「オム・オーシャン」を設立。現在、サンテレビ「ビッグフィッシング」レギュラー、ラジオ大阪・月曜日「むっちゃ元気・オール阪神の週間釣り道楽」レギュラー。サンケイスポーツ、日刊ゲンダイ、週刊つりニュースなどに執筆中。釣りは何でもこなすが手軽に楽しめる防波堤の釣りや投げ釣りを好む。

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