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森永誠の釣り日和

2007.08.16 Thursday第6回 ユニークな魚の自己防衛と威嚇行動

 クロダイ(関西ではチヌと呼ぶ)、釣り上げた直後は背ビレをピンと立てて、目はギラリとなって釣り人を睨みつけます。釣り人は“してやったり”とばかりに野武士的な精悍なクロダイの面構えに満足しますが、クロダイは“やられた”と威嚇行為を釣り人に示すのです。背ビレを立てる威嚇行為はメバル、カサゴもお得意のポーズです。
 水の中を悠々と泳いでいたクロダイですが、ふと見ると目の前においしいエサ。生存競争の激しい魚の世界のこと、当然のように仲間にエサを取られてなるかとばかりに飛びつきます。これが不幸の始まりなのです。水の中から一気に水のない空気の世界にタイムスリップしてしまったクロダイ、それも目の前には見たことのない大きな物体(人間)がいるのです。こうなると自分が持っている能力すべてを使い「俺が怒ると怖いぞ」とばかりに、全身を震わせての威嚇行為を釣り人に見せつけるのです。



 クロダイは興奮すると銀色の魚体がさらに輝きを増して釣り人を喜ばせるのですが、この瞬間は死ぬか生きるかの瀬戸際なのです。釣り人がおいしくいただくためと、ナイフで締められる哀れなクロダイもいますが、中にはスカリに入れられる、ストリンガーにつながれるものもいます。これにしても辛くて苦しい思いだけで、隙を見て逃げようと試みますがどうにもならずストレスは頂点に達してしまうのです。



 釣り人は釣り上げた直後の大きなクロダイを誇らしげに計測します。「よし45促献礇好函廚世版柴世靴董帰り際にまた仲間にその立派なサイズを知らしめようと目の前で計測します。すると「あれ、45造△辰燭里暴未鵑任い襦廚閥びます。そうなのです。スカリに入れられたクロダイは過激なストレスによって縮んでいるのです。クロダイは哀れな姿を釣り人に見せつけることで逃がしてくれるかも、なんて思っているのかもしれませんね。人間も歳を重ねるたびに身長が縮むといわれます。これも長年によるストレスが溜まっているのが要因かも…。



 ほかの魚の自己防衛も話しましょう。フグは危険を察すると大きく膨れます。これも自己防衛で体を大きく見せることで相手に驚異を与えると同時に、食べられないように防いでいるのです。大きな魚がフグを食べようと思っても、膨らんでいるためにポンポンと風船を叩くような感じになり、フグを口に入れることができないのです。よく考えていますね。
 アジ、サバといった青物は群れを作って行動しています。これも自己防衛の手段なのです。アジ、サバは小さく単独行動していては大きな魚の餌食になってしまうのです。ところが群れを作っていると、遠くから見るとその群れがひとつの大きな魚に見えるのです。ですから大きな魚もうかつにはアジ、サバには近づけないのです。また、群れで行動することによって少々は食べられても、ほかは生き延びることができるメリットもあるのです。犠牲を最小限にしようという種族保護が身に付いているのです。
 魚は生き延びるために自己防衛と威嚇を繰り返しているのです。人間社会同様に魚社会も大変なんですね。

●今週の一押し●

 「春告魚」と書かれるようにメバルは春が旬と思われていますが、こと大阪湾の防波堤に限っては夏がベストシーズンです。それも日中に釣れるポイントが多いので初心者でも安心して楽しめます。
 関西では生きたスジエビを撒いて釣る「エビ撒き釣り」が中心になりますが、この時期はエサ取りの状況によってはサシエだけですむので、エサ代がかなりやすくすみます。
 釣れるサイズも20造鯆兇┐詢彪燭多く、日によっては25促ーバーも混じるので強い引きが楽しめます。数も2ケタは当たり前で、慣れた人は 20〜30尾も釣り上げます。早朝から竿を出して10時ごろまでがベストタイムです。
 オススメ釣り場はコンスタントな釣果が期待できる大阪府泉佐野一文字で、特にここは足場がいいので家族連れでも楽しめます。ほかにガシラ、キジハタ、チヌも混じるので人気があります。

◆渡船は菊川渡船筍娃沓押Γ苅僑押Γ牽坑苅帰

2007.08.01 Wednesday第5回 釣りは子どもたちの生きた教科書だ!

 釣りはとても面白い遊びですが、教育の一面も持っています。釣りを通じて環境問題、マナー問題などを子どもたちに教え、子ども自身に何ができるのか、それらを考えてもらうことができるのです。そして実際に釣りをして自然と触れ合い、生き物の命の尊さから仲間との協調性も学ぶことができる、ちょっとオーバーかもしれませんが釣りは“生きた教科書”といってもいいと思います。関西では釣りと環境をテーマにした授業を取り入れる学校が増えています。
 実は私も3年前から大阪府泉南郡熊取町にある大阪体育大学の臨時講師として「海の環境について」学生と語り合っています。今年も7月11、12日に福井県高浜で講義が行なわれました。初日は室内で海の環境について語り、翌日は学生とボートで釣り大会というスケジュールでした。

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 環境の話は約1時間30分です。その時間帯にいま問題の「ソーラス条約」「海辺のゴミの実態」「大壁画による環境保全」「山に海の魚がいる」について話しました。


 昼間は水泳授業でクタクタの学生達ですが、眠い目をこすりながらも熱心に聞き入ってくれ、終了後の「ありがとうございました」にはこちらこそ「お疲れ様」という心境でした。

それから明日の釣りに備えてハリの結び方、チチワの作り方を教えると大にぎわいです。男子学生より女子学生が呑み込みは早かったのは意外でした。「女性は強い」を再認識?



 さて、2日目の朝は曇り空でいい釣りができそうな雰囲気でした。ところが突然の大雨です。あちらこちらで落雷という最悪の天候となったのです。この講義をサポートしてくれた滝瀬先生は私が釣り雑誌の記者時代からお世話になっている方で、先生自身が大の釣り好きです。
 この状況にきっぱりと釣り中止を決めた滝瀬先生、その判断はお見事でした。釣りは「やらない勇気」が大切だからです。釣り人の中にはせっかく来たのだからと、無理な釣りをしてしまうケースが多く、それによって重大な事故を起こしてしまったなんてこと、過去によくあるのです。そこで再度私の講義となりました。この悪天ですから気象、特に雷の怖さ、そして波、地形の話などをして「無理な行動はしない」という結論で結びました。


 この悪天候も幸いなことにお昼前にすっかりと回復して、1時間ほどですが学生たちと砂浜からボートロッドでチョイ投げしてキスを狙いました。初めて竿を振る学生が多かったのですが、そこは運動神経に優れた学生たちです、すぐにコツを覚えてキス、セイゴなどを次々に釣り上げます。女学生もキスを仕留めてニッコリで、昼食の時間も忘れるほど全員が熱中したのでした。もちろん引率の先生方も…。釣りは誰もが楽しめる最高の遊びだと実感しました。

 きっと学生たちには忘れられない夏の1ページになったことでしょう。ただ、この私の講義を含めた水泳実習の授業は今回で終了です。この実習は30年ほど続き一時は数百人参加したこともあったようですが、時代の流れとでもいいますか、合宿というものがいまの学生には受け入れられず、年々参加者は減少していったようです。大学も人気のない昔ながらの合宿授業より、学生のニーズに合ったスマートな授業に方針転換を考えているようです。仲間と同じ釜の飯を食べ、授業を受け、数日間ともに過ごして協調性を学ぶ、古めかしいという人もいるかもしれませんが、私はよき伝統授業は残してほしいと思います。滝瀬先生を始め、この授業に携わった先生方も私以上にこの思いが強いのではないでしょうか。長い間、先生方ご苦労さまでした。しかし、残念です。




●今週の一押し●

 40 属幣紊梁膩織▲犬鮴賁腓冒世辰討い襪里大阪府泉佐野の海新丸。泉南沖の水深45〜50辰ポイントで、慣れた人は36〜42造15尾以上も釣っています。この大アジ狙いに45造泙任梁膩織汽个發茲まじるので楽しみです。海新丸は午前便と午後便で出ていますが、大アジ狙いは午後便が有利で、夕まずめにアタリが集中する傾向にあるようです。
 ハリス2号、10号バリの胴つき2本バリ仕掛けでオモリは30号を使います。マキエは使わずにオキアミだけをハリに刺して狙います。アジは口の弱い魚です。ましてや40詑罎梁腑▲犬箸發覆襪鳩廚蠱里譴覆ぅ僖錙爾あって、無理な引き合いはバラシの原因になるので慎重なやり取りが必要です。この大アジは8月中楽しめます。

◆問い合わせ 海新丸筍娃沓押Γ苅僑后Γ横械械旺
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森永誠
森永誠

森永誠(もりながまこと)
昭和31年に世界遺産で有名な鹿児島県屋久島で生まれる。中学1年で大阪に移り、大学卒業後に週刊釣りサンデーに入社して編集部員に。25年勤続したが廃刊を機に独立して編集プロダクション「オム・オーシャン」を設立。現在、サンテレビ「ビッグフィッシング」レギュラー、ラジオ大阪・月曜日「むっちゃ元気・オール阪神の週間釣り道楽」レギュラー。サンケイスポーツ、日刊ゲンダイ、週刊つりニュースなどに執筆中。釣りは何でもこなすが手軽に楽しめる防波堤の釣りや投げ釣りを好む。

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