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森永誠の釣り日和

2008.09.17 Wednesday第25回 ぼくらのフィールド大阪港が立入禁止!?

大阪港の護岸や沖堤防で釣りができない、こんなショッキングな動きがある。大阪港の護岸や沖堤防を管理する大阪港湾局が突然に「港湾への立入禁止」を発表して釣り関係者を驚かせている。

なぜに港湾局が立入禁止を進めているのか、発端は昨年に起こった釣り人死亡事故にあった。昨年8月に渡船で護岸に上がった釣り人が転落して水死という悲しい事故が起こり、亡くなった釣り人の両親が港湾を管理する大阪市、そして大阪府、渡船業者を訴えて裁判を起こしたのが大きな要因だ。

大阪港は古くから釣りのベストフィールドとして市民だけでなく大阪府民、他府県の釣り人にも愛されている。25blog_02.JPG25blog_05.JPG
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近年は東京、千葉、神奈川からの釣り人が毎年のようにチヌを狙って遠征するほど大人気。今年も7月後半に東京の黒友会が大阪港で「第14回落とし込み大会」を開き北陸、中国地方からの仲間も集まり、総勢170人とにぎわった。

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また、いまはなき大関門はハネ(スズキの幼魚)釣り天国で“朝バネ釣り”という古きよき伝統釣法はいまも受け継がれている。ある渡船店は4代目となり100年ほどの歴史を持っているのだ。
 早速、8月上旬に大阪港湾局を訪ねて本音と今後の動きを探った。港湾局は「もともと港湾は立入禁止地区でいままでは黙認していただけ。今後はしっかりと管理するために立入禁止にしたい」と主張。確かに港湾法では港湾の危険な場所、荷役の作業などに支障の出るところは立入禁止入となっているが、すべてシャットアウトとはなっていない。その危険な場所の解釈も港湾局はすべてが危険と考えているがこれもおかしな話。車が横付けできる足場のいい場所を誰も危険とは思わない。ちょっと海を見に行こう、散歩しようと、安全な護岸を訪れることも港湾局の解釈ではできなくなる。すなわち市民は海辺に近づけないのだ。
 そして今回は特に重要な場所を指定して管理していく意向で、条例に反した場合5万円以下の過料が科せられる。違反者は強く取り締まるというが、果たしてそれだけの人員を配置し、管理部署を設ける力がいま港湾局にあるかというと大いに疑問。
 大阪港が立入禁止になると先ほどにも紹介したように100年以上も続く渡船業、それに伴う関連業者、そして釣具店などにとっては死活問題。この不況の中、それらの人々の生活をどうするのか、それらについても何ら対策を講じていない港湾局の姿勢が理解できない。それらについて質問しても「…」。
 ただ、行政ばかりを責める訳にはいかない。釣り人の安全に対する配慮が欠如していたのは事実だから。磯釣りでは救命具を着用するのは常識だが、波止釣りに関してはなぜか“安全”的なものがあって救命具を持参しない、あるいは渡船内では着用しても釣り場に上がると脱いでしまう人が多い。実は海面から高い大阪港の護岸や沖堤防は危険とは背中合わせ。救命具を着用せず誤って転落すると上がる場所がないので最悪の結果を招いてしまう。釣り場では絶対に救命具を着用して安全な釣りを心がける。そしてそれでも起こった事故に関しては渡船店や行政に責任を押し付けず“自己責任”とする。これがいまの釣りのあるべき姿である。もちろん、渡船店も安全に関しては配慮し、事故のないように釣り人に促すことを忘れてはいけないのはいうまでもない。そうすることによって釣り場での事故が大激減するはず、いや事故ゼロを目指してほしい。
 この港湾局の立入禁止に対して釣り業界も立ち上がった。いや、ようやく重い腰を上げたといった方がいいかもしれない。というのも私が港湾局を取材した8月8日時点、港湾局に対話を求めたのは私と私が釣り雑誌に就職したときの編集長だけ。まだ港湾局が正式に動いていないから動けない、これが関係者の弁だったがすでに禁止区域を特定し、中旬には市民の意見を聞く「パブリックコメント」を港湾局のホームページに乗せる準備もしていたのだ。相手の動きや内容を把握していないと対策を講じることはできないはず。業界の中にはパブリックコメント後に動くという声もあったが、これでは対応が後手に回ってしまう。
 ただ、幸いなことにパブリックコメントが8月27日にずれた。そこで24日に京セラドームで開かれた「磯釣り・波止釣りフェスタ」で、主催者に“大阪港が立入禁止に…”の特別コーナーを設置してもらった。そして釣りができなくなる状況や背景を原稿にして来場者に私自身が配布すると、ほとんどの人が「頑張って」「私に何ができますか」「友達にも話してパブリックコメント書きます」と理解してくれたのがうれしかった。
 パブリックコメントと同時に釣り業界も立入禁止の撤回に向けて動き始めた。ただ行政と対立するのではなく、いい関係で同じ方向に進むためにはどうしたらいいのかといった前向きな議論が行われた。そしてある程度の方向性が決まり、各方面に協力を仰ぐとともに撤回のお願いをいま急ピッチで進めている。
 今月26日までがパブリックコメントの期間。ぜひ大阪港立入禁止についてみなさんの率直な意見を述べてほしい。というのもたくさんの意見が行政の方向を変えてくれるからだ。大阪市港湾局のホームページにアクセス、あるいは直接に港湾局経営管理部総務担当(筍娃供Γ僑僑隠機Γ沓沓娃粥砲飽娶を書き持ち込む、FAX(筍娃供Γ僑僑隠機Γ沓沓隠后砲OK。メールの送信先はtachiiri-iken@city.osaka.lg.jp
 ぼくらの大阪港が今後も安全に釣りができるように頑張って動きたい。ご協力お願いします。

条例改正された場合、立ち入り禁止になる図面
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地図は大阪市港湾局ホームページより引用(2008年9月9日許可済み)
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森永誠
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森永誠(もりながまこと)
昭和31年に世界遺産で有名な鹿児島県屋久島で生まれる。中学1年で大阪に移り、大学卒業後に週刊釣りサンデーに入社して編集部員に。25年勤続したが廃刊を機に独立して編集プロダクション「オム・オーシャン」を設立。現在、サンテレビ「ビッグフィッシング」レギュラー、ラジオ大阪・月曜日「むっちゃ元気・オール阪神の週間釣り道楽」レギュラー。サンケイスポーツ、日刊ゲンダイ、週刊つりニュースなどに執筆中。釣りは何でもこなすが手軽に楽しめる防波堤の釣りや投げ釣りを好む。

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